2011年12月01日

第6回 京都府民公開講座「女性がん;子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん」を拝聴して

中堂寺一平のここが知りたい(92)

6回 京都府民公開講座「女性がん;子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん」を拝聴して

 1119日 生憎の大雨だ。二条城駅前に新設された京都府医師会館3階会議室でNPO法人京都がん医療を考える会主催の、第6回京都府民公開講座「女性がん;子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん」が開かれた。「京都府医師会との初めての共催だ」と、理事長は嬉しそうに語っていた。会場のロビーには、宇治やまぶきの会の膵がん患者が作製した人形が7体飾られていた。そのうち5体は、メガネをかけた小太りの老婆たちが、テーブルを囲み、手に手に編み物や縫い物をしながら語らっている風景に創られていた。他の2体は、老婆と孫がベンチで寄り添いながら何か話しをしている様子を模ったもので、いずれにしろ、なんとも懐かしい暖かみを感じる人形たちだった。入り口にこのような飾りを置くとは、心憎い演出だ。その対面には、京都府内のがん患者サロン案内の一覧がカラー刷りで展示されていた。開場は12:30だったが、12:00過ぎには参加者が詰め掛けてきた。

お婆ちゃん

 定刻に開会が告げられ、先ず、理事長は、本来なら本日この壇上にいるべき方が、112日に亡くなったと報告した。この男性は奥様を全身転移した子宮がんで昨年亡くし、寂しいといいながらも元気で暮らしていたと思っていた方だとのこと。奥様のすざましい闘病生活を事細かに記録し、何時か発表すると言っていたので、残念なことをしたと述べた。次いで、医師会から種田理事が、地域医療推進の観点からも患者に寄り添うがん医療体制の重要性を説いて挨拶した。

 公開講座の第一部は、卵巣がん体験者の会スマイリー代表・片木美穂さんの講演だった。恰幅のいい元気な彼女が、30歳のときに発病し、その闘病生活の中で抗がん剤のドラッグ・ラグの問題を知り、患者会を立ち上げたとのこと。その後、ドキシル、ゲムシタビン、トポテカンの承認を勝ち取り、エトポシドやパクリタキセルの保健適用を得たと報告した。次いで、京都府がん患者団体等連絡協議会の竹内香さんが、中学生と高校生の二人の娘たちと共に子宮頸がん予防ワクチンを受けた経験を話した。竹内さんは、ご尊父をがんで亡くしたことを契機に、がん患者支援活動に入り、その中で、若い女性のがん経験者達の「自分と同じ思いを他の誰にもしてほしくない」という切実な想いを痛切に感じ、「娘達もそんな経験を私と共にしてきたからできたのかもしれません」と、語っていた。

 京都府立医大産婦人科の澤田医師は、子宮頸がん、子宮体がん治療の現況を、疫学、発症のメカニズム、初発の治療法、再発の治療の選択について、今日的問題を含め丁寧に説明した。大事なことは、早期発見・早期治療とのこと。先進国間で最も検診率が低いわが国は、それでも治療前の診察所見は、Stage Ⅰ、Ⅱ期をあわせると約80% で、治癒率は198.9%。Ⅱ期88.9%になるという。早期発見の重要性が伺える。一方、再発した場合の外科治療後の5年生存率は、最も成績の良い摘出手術でも約40%であった。子宮体がんについては、Ⅲ期で70% の5年生存率を示し、予後が良いが、Ⅳ期になると、その生存率は17%まで顕著に低下する。やはり早期発見が望まれるとのこと。

 最後に、国立がん研究センターの笠松医師が、卵巣がんの治療の現況について話した。学者肌の笠松医師は、卵巣がんの特徴を、「①有効な集団検診の方法がない。②進行しても特有の症状に乏しい。③ 腹腔全体に広がる進展(腹膜播種)をしやすい。」と述べ、治療に当っては、進行がんの状況判断と外科的治療でどの程度まで切除するかの判断が難しいとのこと。目安としては外科的に12cm以下を目標にしてがん巣を縮小(腫瘍原料手術)し、その後抗がん剤で治療するのが最も良い生存率を示していると語った。また、昨今、分子標的治療剤の開発が進んでいるが、ドラッグ・ラグと関連つけて、未完成の薬剤の使用を要求する情報が見受けられ難渋しているとも述べていた。
  討論は、京都第二赤十字病院の藤田医師の座長とコメンテーターとして京都大学大学院婦人科学産科学の小西医師の協力で行われた。予想に反し、各疾患に対する質問数が多かったが、各パネラーやコメンテーターのきめ細かい丁寧な対応で充実したものになった。特に、多かった質問は、食事療法、免疫療法に関するもので、特異な質問としては、母親とその姉妹に卵巣がんが見つかった家族性がんについて、娘にどのように話したらいいかと言う事例であった。ここにも、遺伝カウンセラーの必要性が問われ始めてきたと感じた。



drecom_medical_info at 05:46│ この記事をクリップ!2011年